秋葉原無差別殺傷事件:携帯電話から消されたデータの解析

 秋葉原無差別殺傷事件(秋葉原通り魔事件)で、犯人は、犯行にいたる1ヶ月間で、携帯電話の掲示板サイトに約3,000件(1日あたり約100件)の書き込みをしていた。しかし、逮捕直前に携帯電話の履歴などを全部消去していたという。

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 この犯人が携帯電話の掲示板サイトへ書き込んだ内容は、犯行動機を浮き彫りにする上で、重要であるといえる。犯人は、そこへのアクセス履歴や電話帳などのデータをすべて抹消してあったそうだ。裁判での重要な証拠資料として、犯人の携帯電話の携帯電話からのアクセス履歴や書き込み内容は、掲示板サイトのサーバに残っているだろう。しかし、本人の携帯電話に残る送信履歴などは、証拠資料として決定的なものとなるはずである。この携帯電話から消されたデータの解析技術が存在する。この技術によって、犯人の犯行予告の確実な証拠や隠そうとした犯行動機を示す情報を見つけ出すことができるだろう。

・ 携帯履歴、直前に消去か 秋葉原無差別殺傷、容疑者を送検
・ 携帯電話のデータ消去か=押収ナイフは計5本-前日も秋葉原に・加藤容疑者
・ <秋葉原通り魔>電話番号やメール履歴を消去 容疑者の携帯

フォレンジック調査の歴史

 デジタルフォレンジックという概念は、日本では、最近普及した新しい言葉である印象があるが、米国では比較的古くから導入されていた。たとえば、有名なところでは、エンロン事件などでもフォレンジック調査が用いられたという。
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 エンロン事件以後、不正会計事件における証拠を探し出す方法として、デジタルフォレンジックは急速に普及していく。他の例では、FBIが1991年にボリビアの
麻薬組織を摘発した際に、麻薬の取引先や過去の販売記録などを暗号化したデータを保存してあるパソコンを押収し、暗号を解読して各組織の窓口となる人間を
特定し、結果的に当時としては最大規模の逮捕劇につながったという。
 日本では、フォレンジック調査は、まだ始まったばかり。先行した米国の最新事情も参考にしながら、早く世界水準まで追いつかないといけない。インターネットの普及で、世界はますます小さくなり、ビジネスも犯罪もグローバル化しているのだから、日本だけ待ったをしてくれるわけではない。