フォレンジック調査の歴史
デジタルフォレンジックという概念は、日本では、最近普及した新しい言葉である印象があるが、米国では比較的古くから導入されていた。たとえば、有名なところでは、エンロン事件(アメリカの大手エネルギー会社エンロンが起こした巨額不正会計事件)などでもフォレンジック調査が用いられたという。
エンロン事件以後、不正会計事件における証拠を探し出す方法として、デジタルフォレンジックは急速に普及していく。他の例では、FBIが1991年にボリビアの麻薬組織を摘発した際に、麻薬の取引先や過去の販売記録などを暗号化したデータを保存してあるパソコンを押収し、暗号を解読して各組織の窓口となる人間を特定し、結果的に当時としては最大規模の逮捕劇につながったという。
日本では、フォレンジック調査は、まだ始まったばかり。先行した米国の最新事情も参考にしながら、早く世界水準まで追いつかないといけない。インターネットの普及で、世界はますます小さくなり、ビジネスも犯罪もグローバル化しているのだから、日本だけ待ったをしてくれるわけではない。