告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の概要

内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の創設者ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)氏がロンドンで別件逮捕された。
ウィキリークスの概要とこれまでの活動について簡単にまとめておく。
詳細な情報は他にも多数上がっているのでそれらを参照していただきたい。
ウィキリークス(Wikileaks)とは、団体名でありサイト名でもある。政府や企業などの機密情報を、主に内部告発を情報源として収集、インターネットを通じて世界に公開している。
「サラ・ペイリンのヤフーアカウント情報流出」事件で、同サイトの知名度が飛躍的にあがった。
2008年9月、アメリカ合衆国大統領選挙期間中に共和党の副大統領候補として出馬中のサラ・ペイリン(Sarah Palin)の個人的なYahoo!メールアカウントがハックされ、掲示された件である。
そして世界に大きく衝撃を与えたのは「2007年7月12日の米軍による民間人攻撃の動画」だ。2010年4月に公開された空撮映像は、CNNやNYT、英BBCなど欧米主要メディアでも繰り返し報道された。
この銃撃ではロイター記者2名が死亡している。ロイターは民間人を武装兵と誤認したのではないかと状況調査や各種記録の提出を要請したが、米軍は「戦闘中の出来事」であるとし拒否していたものであった。
その他、アフガン紛争関連の機密情報7万5000件以上(2010年7月)やイラク戦争の米国機密文書40万件以上(同年10月)などが次々に公開された。
11月28日には、1966年12月28日からの25万件以上にのぼる米国外交公電が逐次公開されはじめ、世界中の注目が集まっている状況である。
なぜ、ウィキリークスでは大量の機密情報を入手、公開できるのか。
その情報源は、ほとんどが内部告発である。
告発者は危険にさらされる例が大半であることから、告発者を守るために、軍レベルの暗号技術を駆使。さらにサーバーの設置場所も未公開、ログ(記録)も取得せず、告発者の匿名性を守るために強固なセキュリティ対策を施しているという。
ウィキリークスの活動の是非以前に、これほど大量に機密情報が取得できてしまったという事実が米国でも衝撃を持って受け止められている。本来は企業よりも厳重なセキュリティが施されてあるべき軍・機密組織の情報管理体制に、疑問が投げかけられている形だ。
ウィキリークスは、創設者の逮捕とは関係なく活動を継続すると表明しているだけでなく、同サイトのミラーサイトが続々と誕生している。
ネット上でいったん公開された情報を規制することは不可能に近いことの好例といえよう。