e-discovery費用を抑える方法

アメリカで訴訟に巻き込まれたり訴訟を起こす場合、Eディスカバりー(電子証拠開示)に巨額の費用がかかることを知っておかなくてはいけない。
FTの記事によれば、e-discoveryの直接費用は二桁の伸びをみせていて、100億ドルに近づきつつあるそうだ。記事では、制御不能な軍拡競争になぞらえつつ、プロセス自動化、アドバンストサーチなどの最新機能も、コスト低減にはつながらないだろうと指摘している。

「司法制度で、ディスカバりー(証拠開示)ほど恐ろしい言葉はない。たとえ潔白でも、原告/被告として正当な主張をしていても、書類その他の証拠を作成する義務があり、その作成過程は大変な苦痛と時間を伴うものだ。

そして今、社会のコンピュータ化という奇跡によって、ディスカバりーの痛みと費用はさらに悪化した」
「信頼できる筋からの話では、あるカリフォルニアのテクノロジー企業に関する特許訴訟では、内部予算として訴訟コストが400万ドル、ディスカバりーコストに2,000万ドルが組まれ、ディスカバりー費用の大部分は電子情報の検索とレビューにかかった」
米国はもちろん日本国内の訴訟であっても、今後ますます電子証拠は重要性を帯びるが、特に中小規模の企業にとっては、ディスカバリー費用は大変なダメージとなりうる。
コストを抑えるためには、問題が起きたときの正しい対応が重要である。
特に社内の人間が証拠確保を試みたりせずに、最初から正式な方法で証拠取得することは、基本的かつ最も重要な原則だ。証拠となるデータを不用意に操作することは、電源ON/OFFですら、証拠隠匿行為とみなされたり、または大事な証拠を失うというリスクにつながる。
特にアメリカでは、証拠開示請求に正しく対応していないとみなされると、非常に厳しい制裁的措置を受ける危険が高い。そうなってしまうと、費用や時間がかさむだけでなく、裁判自体も大変不利になる。
規模の大小を問わず、企業は電子証拠開示への対応を想定しておくことが求められる時代だ。
参考:Halt the destructive e-discovery boom (FT.com)