証拠隠蔽(Spoilation)判決を避けるには?
eディスカバリーにおいて何よりも重要なことは、訴訟ホールド(Litigation Hold/Legal Hold)「文書の保存義務」の対応をしっかりと実施することだ。訴訟ホールド対応を失敗してしまうと、せっかくの勝てる裁判を台なしにしかねないからだ。
訴訟ホールドは、将来の訴訟が予見された時点で発生し、関連文書の保全義務が発生する。企業の通常のRetention Policy(文書保存ポリシー)をすぐに停止し、保全すべきESI(電子情報)の範囲を見極める必要がある。保全が必要なESIを破棄してしまえば、証拠隠蔽(Spoilation)の制裁につながるからだ。
<証拠隠蔽(Spoilation)の制裁>
実際にSpoilationの制裁が課せられるか否かは一般に次の要素で決まる。
・証拠破棄を実施した側の過失の度合い
・訴訟相手によって被った不利益の度合い
・当事者によって請求された制裁の度合い
<証拠破棄(Spoilation)とみなされないためには?>
何もSpoilationの制裁を恐れて、行動する必要はない。データ保全・収集のよい例を参考に挙げよう。
・適切な訴訟ホールドの実施時期と適用範囲の決定
・クレーム内容に関する適切なフォローアップ努力
・ESIを識別するための適切な検索キーワードの決定理由
大事なことは、双方ともに完璧さを要求されているのではなく、誠実に、適切に訴訟ホールドの対応を実施することにある。