カルテルとe法務ディスカバリー

自動車部品の販売で価格カルテルを結んでいたとして、公正取引委員会が独禁法違反の疑いで大手部品メーカーの立ち入り検査したというニュースが今週ありました。
昨年2月には米連邦捜査局(FBI)が日系大手部品メーカーの米子会社3社に立ち入り。公正取引委員会はこれらメーカーに計120億円超の課徴金を課す方針を固めています。
日本企業が米国での訴訟に巻き込まれるケースは価格カルテルだけではなく、特許、知的財産、製造者責任や連邦海外腐敗行為防止法(FCPA:Foreign Corrupt Practices Act)などの分野に及んでいます。
米国の企業はFCPAなどの調査に対応してe法務ディスカバリーツールを社内に導入しています。これは50%以上のビジネスが海外で取引されている中で、企業としての透明性を維持する為にはFCPAに関する問題を早期にそして効果的に対処する事が最重要課題だからです。
米国のトップ10に入る大企業であるA社の例ですが、FCPAの調査が多いときで月に2件にもなりました。これに対処する為には既存の社内リソースだけではとてもやりきれない状況になってしまったのです。社内にe法務ディスカバリーのソリューションを持っていないA社はFCPAの調査期限内に対応する事が出来ず、またこれにより通常の業務にまで支障が出てくるまでになりました。複雑なコミュニケーションシステム、また情報の削除により「収賄」がどのように行われたのかを把握する事はe法務ディスカバリーツール無しでは困難を極めていました。
ある案件では7日間の期限内に150GBのデータを分析してFCPAのリクエストに答える必要がありました。ワード文章で1GBのデータ量というのはA4紙で100万ページにもなるのです。この件は現在進行中の1億5,000万ドルもの別の新規ビジネスともリンクしていたので、その対応次第で新規ビジネスのロスにもなりかねない状況でした。
A社はe法務ディスカバリーツール数社を弁護士とのチームで評価をし、最終的にC 社のe法務ディスカバリーツールを導入する決定をしました。C社のツールに決定した理由はそのパフォーマンスもさる事ながら、「e法務ディスカバリーを行う際にIT部門からのヘルプを必要とせずに使える」というものでした。e法務ディスカバリーを行い電子データを分析するのは社内の法務担当者と社外弁護士達で、彼等が簡単に使えるe法務ディスカバリーツールである事が最も重要だったのです。
また今回のケースは中国も関わっていました。英語があまり得意でない中国の弁護士でも簡単に使えるツールだったという事も魅力だったようです。
日本企業に関わる、最近の米国での国際価格カルテル事件では、2008年11月にアメリカ司法省は液晶パネルのカルテルでシャープに罰金115億円、2010年9月に冷却用コンプレッサーのカルテルではパナソニックに対して約41億円の罰金の支払を命じています。
国際価格カルテル事件になるとe法務ディスカバリーが必要とされるのは米国のみならず欧州、日本、アジアにも及ぶ可能性があります。海外展開をする日本企業にとってグローバルなスタンダードの観点からe法務ディスカバリーツールを選択し、訴訟リスクへの対応する事は共通の課題となっています。