米国法律事務所のe法務ディスカバリー対応

DLA Piperは最大手の国際法律事務所ですが、あるケースで相手方弁護士からの要求で57万通もの電子文書 (合計67GB)を5日以内にプロセス、検索そして分析をしてケースに関連する文章のみを裁判所に提出するという要請に直面しました。DLA Piper社は今までの経験から全て処理するのに数週間かかると判断しました。但しこれではとても裁判所が提示した期限には間に合わせることが出来ず、高額の制裁措置の対象になる可能性がありました。
DLA Piperは57万通の文章から本案件とは関係のないものと分別するカリングを高速で行えて、なお効率的な検索及び分析が出来るe法務ディスカバリーツールが必要でした。そしてあるツールを即導入し2日間で99.46%の対象外の文章を分別し、3,070通の対応文章を発見する事が出来ました。そしてそれらをPSTフォーマットにエキスポートをし期限内に裁判所の要求に答えることが出来たという事です。
ディスカバリーが「紙」から「デジタル」に移行し、企業が膨大なデジタルデータを取り扱う現在では1案件でテラバイト級のデータを取り扱う事も珍しくありません。特にDLA Piperの例にあるように期日内に関連文章を提出するべく「e法務ディスカバリーの管理」を極めて効率的に行う事が大変重要になって来ました。
米国ではe法務ディスカバリーの要求に効果的に対応する為に、「e法務ディスカバリー部」を設置している弁護士事務所もあります。選任のe法務ディスカバリーに熟知した弁護士が「E-Discovery Practice」を付加価値サービスとして提供しています。
Gibson, Dunn & Crutcher LLPはニューヨークの弁護士事務所ですが、2010年1月にe法務ディスカバリーグループを事務所内に設置しました。
このプレスリリースから下記のポイントが見えてきます:
* 弁護士事務所が率先して効率的なe法務ディスカバリーのイニシアチブを取っている。
* e法務ディスカバリーは法律分野では最も動きが早く発展している分野で2009年だけでも200もの新しいe法務ディスカバリーに関する決定がされている。
* e法務ディスカバリーに関わる電子情報量は増加の一歩を辿っており、そのコストも増加している。クライエントに対して動きの早いe法務ディスカバリーのエキスパートとしてその要求に答えたい。
* e法務ディスカバリーはアンチトラスト、株取引、従業員、集団訴訟などでは必要不可欠なプロセスで法務のノウハウなどと合わせて提供可能になる。
* クライエントに対してはグローバルに分散したデータ保全、収集、処理、レビュー、プロダクションの価格効果の高い手法をアドバイスする事が出来る。
e法務ディスカバリーはITと法務の融合です。「E-Discovery Practice」を行うためには企業クライエントに対して緊急のe法務ディスカバリーに対応する事はもちろんですが、将来的な対応の観点からのアーカイブ、リーガルホールド、社内ポリシー及び効果的なITネットワーク構築も含めたアドバイスを提供出来なければいけません。米国では法律事務所がこのようなITノウハウも含めたサービスを企業クライエントに提供するようになって来ています。