TPPセミナー

6月4日に東京、6月6日の大阪で「TPPに勝つ方法!」

「米国で最先端のリーガルテックから学ぶ知財訴訟対策と経営戦略」というテーマで

セミナーを行いました。

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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉を通して、米国が狙う最大の目的は、知的財産権に

よる、ロイヤリティ 収入の獲得だと言われています。

これは、TPPへの参加を表明している日本にとっても、極めて重要なテーマです。

知的財産権で収入を得るために、知的財産権侵害を主張し、国際的な紛争解決センターへ

提訴するなどの手続き は避けては通れない経営課題です。 

しかし、知財訴訟に関する訴訟テクニックやリーガルテックを活用した証拠開示において、

日本は、米国に比べて20年は遅れていると言われています。

こ の セミナーでは、ビ ジ ネ ス 訴 訟 を 専 門 と し 、こ れ ま で に 1 , 3 0 0 件 を超 え る

裁判で約 9 1 . 3 % の 勝 訴 率 を 記 録 し て い る ク イン・エマニュエル外国法事務弁護士

事務所東京オフィス代表のライアン・ゴールドスティン米国弁護士

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米国で 最先端のリーガルテック技術を有するカタリスト社のジョン・トレデニック社長

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をお招きして、セミナーを行いました。

AOSは、「TPPと知財訴訟に活用されるリーガルテック」というテーマで講演しました。

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スマホやタブレットの急速な普及に見られるようにIT環境の進化が進む一方で、日本は今、

7月からTPP会議への参加を準備しており、グローバルなビジネス環境の変化も急激に

起こっています。グーロバルビジネスが加速していくなかで、デジタル訴訟社会への備えは、

避けては通れない重要なテーマです。

実際に国際訴訟に巻き込まれてしまうと、デジタルデータの証拠開示のノウハウが会社の

運命を大きく左右します。皆様や従業員が普段持ち歩いてるスマートフォンには、何千件

もの通話履歴や写真データ、膨大な位置情報などが記録されています。

このようなデジタルデータは、訴訟の際には、圧倒的な証拠になります。訴訟が起こった

ときに、どうやって電子データを調べて証拠として提出すればいいのか、そのために

リーガルテックをどう活用して、デジタル訴訟社会に勝ち残るのか、これをテーマ

として講演をしました。

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TPP(環太平洋パートナーシップ)とは、そもそも何かということですが、国際貿易のフェア

なやり方のために自由貿易に支障になる関税の問題を解決するためにウルグアイラウンドが

でき、そのあと進んでWTOが組織され各国の貿易の調整をするようになっているのに何で

いきなりFTAとかTPPが注目されるようになったのでしょうか

関税の問題だけを調整することならWTOでやれますが、実際にかなりアメリカなどの関税が、

下がってるからお互いに話し合って関税を下げるだけならそんなにはメリットがないと思い

ます。

しかし何でアメリカは新たな貿易のやり方を進めて行こうとするのでしょうか

これがポイントです。

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この真意はものの貿易、つまり、ものの輸出入の協定は、解決できたけどサービスはまだ

だからこのサービスをどのように自由に売って行くかがアメリカの本音だと思います。

サービスビジネスの分野で世界的に競争力を持って、上位に位置するアメリカはサービス

ビジネスに支障になる壁を撤廃することが一番関心が高いということでしょう。

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実際に米国の2011年の輸出入統計を見てみると、黒字になっているのは、食料品と

半導体、航空機、医療器具だけですが、全体から見ると、大きな利益を確保することは

難しいということがお分かりになるかと思います。

米国のサービス貿易収支.png

それに対して、サービス貿易の収支を見てみると、年間で約17兆8500億円の収益

を上げており、その中でも、ロイヤリティ、ライセンス使用料は、約8兆4000億円

を稼いでいます。

日本のサービス貿易収支.png

こちらは、2012年の日本のサービス収支ですが、全体では、約3兆1000億円の

赤字ですが、特許使用料等は、約1兆1900億円の黒字となっています。日本にとっ

ても、知的財産権をどうやってお金に換えるか、結局、日本はTPPに参加してアメリカの

要求に応じるしかないと思いますが、そうなるとこれからどうなるのでしょうか?

教育、保険、金融、法律などいろんな分野で新たなルールができビジネスが行われること

になるかと思います。

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特に、法律サービスの自由化、つまりアメリカのリーガルサービスがグローバルに広

がるようになると今後、国内外にど んな影響があるのでしょうか?

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アメリカの民事訴訟では、裁判の前に、当事者同士が、事前に、不利な証拠も、有利な

証拠も全て、開示しなければならないという、ディスカバリに基づいて、公判が実施さ

れます。証拠開示は、これまで、書類が証拠として提出されていましたが、IT革命が進

んだ現代では、ほとんどの情報は、電子化されており、これを受けて、2006年の

12月に連邦民事訴訟規則が改訂されて、訴訟手続き日から120日以内に原告と被告

が裁判所にて会議を行います。ここで、判事が事件の日程とデッドラインを決定します。

この会議に先立ち、21日前までに、つまり、訴訟手続きから99日以内にeディスカバリ

の対象についての事前協議を行います。どのような証拠データが社内のどこに有るか、

そしてアクセス可能かなどの情報を提供します。この時点でこれらのデータが特定出来

ていない場合は、社内の全データが対象になることもあるため、結果として膨大な証拠

開示コストがかかってしまいます。だから、会議の前の99日間がとっても大事な期間

となります。この期間に和解するのか、戦うのかを決める必要があります。

これをECA(早期訴訟評価)といいます.早期に訴訟評価を行うためには、証拠データを

効率良く処理できるリーガルテックの活用が必要となります。電子データの証拠開示に

漏れがあったり、素早く開示できないと、巨額の賠償金を科せられることもあり、電子

データの証拠開示ミスが企業の運命を大きく揺るがすことになります。

米国の訴訟状況を見ると、米国の上位500社が1年間に支払った訴訟費用は、17兆

円にも上ったというデータもあります。米国訴訟全体の12~15%程度の割合で、日本

企業が訴訟の当事者になっています。

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大量の電子データから、瞬時に必要なデータを処理し、証拠とし扱える形で抽出する法務

ITの技術をリーガルテクノロジーと呼びます。

デジタル訴訟社会とも言える、現代では、この訴訟支援技術、リーガルテクノロジーは、

必要不可欠な技術です。電子証拠開示、データ復元、データ抹消などの技術は、民事訴訟

や刑事訴訟で広く活用されています。

セミナーでは、AOSが今まで手がけてきた、刑事事件、民事事件に使われたリーガル

テクノロジーを紹介させていただきました。

多数の方のご来場いただき、誠にありがとうございました。

NRIセキュアテクノロジー主催のセミナー

NRIセキュアテクノロジー主催のセミナーが開催されました。

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今回は、「インサイダー取引などに対するPCおよびスマートフォンのデジタルデータ証拠調査方法の

具体的ノウハウ」というテーマで講演を行いました。

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昨年、金融業界を大きく揺るがした事件は、国内では、大手証券会社の情報漏洩によるインサイ

ダー取引の摘発事件と世界的には国際的な基準金利であるロンドン銀行間取引金利、LIBORの

不正操作事件だったかと思います。

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このLIBOR事件で逮捕された元トレーダーのうち、一人は、東京勤務の経験があり、円建て

取引の担当者だったとされており、ロンドンを主な舞台にした逮捕劇で、疑惑が東京市場に

も波及したと報道されています。この事件では、担当者のメール、チャット、文書ファイル

が重要証拠として提出されています。賠償金の支払い金額も大きく、LIBOR操作に絡む金融

機関11社の罰金や訴訟費用が2014年までに1兆1700億円に上るとモルガン・スタ

ンレーは試算しています。被害を被った政府や企業が金利の不正操作を行った金融機関への

訴訟準備を始めているという報道もあります。一方のインサイダー取引に関しては、今年は、

金融庁などが罰則強化の動きとして、今までは、情報漏洩をしても、直接、株取引で利益を

得なければ罪に問われなかったものを、金融商品取引法を改正して、情報漏洩も罰則の対象

とするかを検討しています。この2つの事件は、日本企業も必ず知っておくべき問題だと思

います。

 

今回は、これらの問題に対して、具体的な事前、事後対策として、

事前対策

1)不要なデータを抹消

2)パソコン、スマホの利用状況を記録

3)機密ファイルのアクセス制限、コピー防止

 

事後対策

1)不正の実態調査

2)訴訟対策

3)再発防止策の策定、実施

 

を紹介させていただきました。

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多数のお客様にご参加いただき、誠にありがとうございました。

電子情報・ネットワーク法研究会公開勉強会

11月8日に東京の弁護士会館で弁護士業務に役立つ「インサイダー取引、情報漏洩の事前・事後対策」というタイトルで講座を開催しました。

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題材としては、「インサイダー取引の事前・事後対策」と「アップル、サムスン電子における知的財産訴訟における証拠開示」という2つのテーマで話をしました。

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インサイダー取引に関する話は、こちらで紹介しています。
(参考:http://blog.spectorpro.jp/2012/09/nhkbiz.html)

もう一つのテーマ「アップル、サムスン電子における知的財産訴訟における証拠開示」というテーマで話した内容は、2014年の4月にスマホやタブレットの特許を侵害しているとして、アップルがサムスンを米国で提訴します。これと同時に今度は、サムスンがアップルを日本、米国、韓国、ドイツで提訴して、特許紛争が始まりました。

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こちらは、2012年になってからの主な動きですが、今年の8月に、カリフォルニアの地方裁判所で陪審員による評決でアップルが持つ管理をサムスンが侵害したと認められて、10億5000万ドルという巨額の賠償金の支払い命令が出ました。

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こちらは、サムスンが提出した裁判用の証拠データです。アップルのデザイナーがSONYのデザイナーがボタンなどの過剰な装飾がない、手にフィットする過度に丸みが付いた携帯電子機器のデザインの話をしていたという情報を得て、アップルの工業デザイナーが作成したモックアップデザインです。CAD図面には、SONYのロゴまで入っています。デザイナーによるとこのデザインは、iPhoneプロジェクトのコースを変え、現在のiPhoneにつながったとのことです。つまり、サムスンの主張は、サムスンがアップルのデザインを真似したというが、アップルもSONYのデザインを参考にしたのではないかということです。

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こちらは、アップルが提出した証拠データですが、iPhoneのパッケージデザインをギャラクシーのパッケージが真似しているという証拠データです。

【アップルとサムスンの証拠保全義務違反】
アップルとサムスンの訴訟では、証拠データの保全義務違反というのも指摘されました。サムスンは、全てのeメールが2週間後に自動削除されるシステムを導入していましたが、アップルは、侵害通知をサムソンに行った2010年8月時点で削除を停止して、証拠保全を行なわなかったのは、証拠隠滅を図ったもので、証拠保全義務違反に当たるとして、制裁を求めました。これに対して、裁判所も一度は、この訴えを認めましたが、これ対して、サムスンは、アップルも証拠保全義務を果たしていないと主張し、裁判所もアップルが自社に不利な証拠を破棄した可能性があると認めて、双方の主張が無効となりました。

【アップルとサムスン評決、グーグルの意向示すメールが決め手】
陪審員が10億ドル余りの巨額の損害を認定するときに判断材料としたのがグーグルからサムスンの幹部に送られていた電子メールだと報道されています。グーグルの幹部がサムスンに対して、アップルのiPhoneにあまりにも似ているのでデザインを変えた方がいいというメールが証拠として提示されて、このメールにより、サムスン側もギャラクシーがiPhoneに似ているということを認識していたという証拠となったとのことです。このように電子データが評決に大きな影響を与えています。

これは、米国での訴訟なので、eディスカバリの対象となります。eディスカバリとは、米欧の民事訴訟や行政調査、審理の当事者に向けた電子情報証拠開示のための手続きルールです。米国では、2006年にFRCP(連邦民事訴訟規則)で厳密な運用が明文化され、このルールが守れない場合には、制裁金、および訴訟においてのペナルティが課せられるようになりました。訴訟や行政調査の当時者は、証拠開示の要求に答える義務を負います。アップル、サムスンの訴訟に関して、様々な証拠データが法廷に提出されたというニュースが流れていましたが、ここで開示されたデータがeディスカバリにより開示が義務付けられたデータを含んでいます。

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実際のeディスカバリの証拠開示は、EDRMという電子情報開示参考モデルに従って進めていきます。企業にとっては、電子データの証拠開示をどういう風に進めるか、どういうツールを使ってどのように調査するかが思案のしどころになると思います。