ITと弁護士の生産性
/カテゴリ: 世界情勢, 最新米国情報リーガルサーチのLexis やWestlawが出現した時にアメリカの弁護士達は「コンピュータでの検索など使い物にならない」と言っていたそうです。現在ではコミュニケーションが電子化され、訴訟の際には何テラバイトもの電子保存データを取り扱う事が必要となり弁護士もITの力を使わずに効率を上げることは不可能な状況になっています。
ITの変革が弁護士の活動に影響を及ぼしている事は確実で、特にiPadの出現はアメリカの弁護士の活動に大きなインパクトを与えているようです。四角い革カバンに紙の書類を詰め込んで裁判所に向かう事はもう昔のシーンとなっています。
iPadの一般的なオフィスアプリケーションだけでなく、生産性を上げるのに適した新しいアプリケーションにどのようなものがあるかの情報を常に入手しておく事が重要です。アメリカでは弁護士が自分のプラクティスに適したアプリケーションを効果的に利用して作業効率を上げる事が一般的になっています。
それを反映してアメリカでは弁護士が活用出来るようなiPadのアプリケーションがいくつかありその例をご紹介します。
- 1) Courtdays Pro
(http://itunes.apple.com/us/app/court-days-pro-rules-based/id419708480?mt=8)
裁判に関わるスケジュールや期限などの管理アプリ。 - 2) Read It Later
(http://readitlaterlist.com)
ウェブページを保存してオフラインで読めるようにするアプリ。 - 3) Westlaw Next
iPadのタッチスクリーンに対応したドキュメントノートソフトウェア。 - 4) Fastcase
リーガルサーチアプリ。 - 5) Litigator
訴訟弁護士向けの連邦/地域ルールなどのリファレンスアプリ。 - 6) IJuror
(http://itunes.apple.com/us/app/ijuror/id372486285?mt=8)
陪審員の席順や各陪審員の情報が入力出来るアプリ。 - 7) Audiotorium
ノート及び音声録音のアプリ。 - 8) TrialPad
裁判でのプレゼンテーションアプリ。
American Bar Associationのウェブサイトでも弁護士の仕事効率を上げるためのiPhoneやiPadアプリケーションを紹介しています。(http://www.americanbar.org/publications/youraba/201105article05.html)これらのアプリの数からもアメリカの弁護士を取り巻くIT環境を理解する事が出来ます。当然セキュリティの心配もありますが、Googleの元CEOであるEric Schmidt氏はMACは最も安全なPCであると述べています。タブレットPCが不発に終わったのとは逆にiPadの爆発的な人気を受けて6,000ものアプリが存在します。そしてより機能的で情報を簡単にコントロール出来るようになりました。iPadはデスクトップやノートブックPCと異なり情報を「作る」デバイスではありません。あくまで情報を「消費」するデバイスです。既存のPCと並行してiPadを効率的に使うというのが今後の流れのようです。
SNSへの対応
/カテゴリ: eディスカバリー, 世界情勢, 最新米国情報e法務ディスカバリーのミスによる訴訟
/カテゴリ: 世界情勢, 最新米国情報カルテルとe法務ディスカバリー
/カテゴリ: eディスカバリー, 世界情勢, 最新米国情報データ収集へのアプローチ
/カテゴリ: eディスカバリー, 世界情勢, 最新米国情報告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の概要
/カテゴリ: 世界情勢, 最新米国情報シンガポールのEディスカバリー事情
/カテゴリ: 世界情勢10月1日より、シンガポールで電子データの証拠開示に関する新しい司法条例が導入された。
これは、8月に同国最高裁判所より発表されていたもので、
(http://app.supremecourt.gov.sg/data/doc/ManagePage/temp/4nuc3c45i15f0f45uffl1b55/practice_direction_no.3_of_2009.pdf)法的審理における、電子的に保存されたデータのディスカバリ(証拠開示)と証拠検分の手順を定めている。
シンガポールは法的文書の電子化が進んでいることで知られていて、既にEディスカバリーの条例も発表されている。
アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの欧米だけではなく、今後はアジアでも広くeDiscoveryの波が広がっていくことは不可避である。
日本企業や自治体なども、いざというときに手痛い打撃を受けないためにも、eDiscoveryの対策を真剣に講じるときである。
トゥレ・ITU事務総局長、サイバー犯罪防止へ法整備、700社に技術協力要請
/カテゴリ: 世界情勢【ジュネーブ=市村孝二巳】
世界の情報通信行政を統括する国際電気通信連合(ITU)はインターネットに絡んだ「サイバー犯罪」防止に向け各国共通の法制度作りに着手した。国家の情報中枢を攻撃するサイバーテロや個人情報の漏洩(ろうえい)を取り締まる法制度案を二〇〇九年までに策定し、ITU加盟の百九十一カ国に採用を働きかける。国境を越える犯罪に備える狙いで、世界の有力情報通信企業など約七百社には安全確保の技術標準づくりなど技術面での支援を要請する。
ITUトップのハマドゥーン・トゥレ事務総局長が日本経済新聞との会見で明らかにした。トゥレ氏は「国境を越えて広がるサイバー犯罪の被害を食い止め、ネットワークや情報を守るには世界共通の法的枠組みがぜひとも必要だ」と訴えた。
ITUは二十六日に開く専門家会合で「法制度」「国際協力」などサイバー犯罪対策五本柱に沿って対策を議論し、十一月の理事会(加盟国の代表四十六カ国で構成)までに報告書をまとめる。理事会は同報告書を軸に具体的な対策案の検討をさらに進め、一年後に各国に提案する。
まずモデルとなる法制度の策定など緩やかな国際協力から始める考え。各国に国内法整備を義務づけるため国際条約を制定するかどうかは「加盟国の判断に委ねる」とトゥレ氏は述べた。条約交渉には時間がかかり、変化の速いネットの世界では対策が後手に回る恐れがあるためだ。
対策を想定するサイバー犯罪は幅広い。サイバーテロやハッカー行為、迷惑メール(スパム)やコンピューターウイルスのまん延、児童ポルノや犯罪を誘発する情報の流通などをいかに防ぎ、取り締まるかが大きな課題となる。日本で頻発するネットを起点とした殺人や自殺などの対策も検討対象に入る見通し。
トゥレ氏は「百四十五カ国にサイバー犯罪を監視する独立した機関があるが、犯罪は最も対策が弱いところで起きる」と指摘。〇〇年に「ILOVEYOU」ウイルスがフィリピンからばらまかれたように、対策の立ち遅れた途上国こそ規制を急ぐ必要性を強調。サイバー犯罪に対する罰則がない国に法整備を促し、取り締まりのための技術支援や人材育成を進める。
さらにITUは専門家会合に参加している米AT&T、インテル、マイクロソフト、ベリサインなど世界の有力情報通信企業約七百社にも協力を呼びかける。ウイルス感染を防止するハードおよびソフト技術などの開発・普及で、民間企業の協力が不可欠なためだ。トゥレ氏は来日しNTT、KDDIなど日本の通信各社幹部らと十九日から会談する予定で、サイバー犯罪対策を含む各分野での協力を要請する。
【表】ITUのサイバー犯罪対策の5本柱
- (1) 法制度
各国が共通して採用できるサイバー犯罪対策の制度モデル構築 - (2) 技術的・手続き上の対策
安全確保のための技術標準、ソフトウエア、ハードウエアの認定基準作成など - (3) 組織的構造
サイバー犯罪に対する監視、警告、対策を実施する機関の設立、運営など - (4) 能力開発
特に途上国での人材育成、技術支援 - (5) 国際協力
国際的な対話、協力、協調の枠組み構築
【表】世界で起きた主なネットに絡む犯罪
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- 2000年 米ヤフーやCNNのサイトが不正操作による集中アクセスでシステム障害
- フィリピンから「I LOVE YOU」ウイルスが世界中にばらまかれる
- 2001年 ウイルス「コードレッド」「ニムダ」などが世界中にまん延
- 2003年 「ワーム」型ウイルスが原因で世界各地でネット通信障害
- 2007年 エストニア政府のネットワークがサイバーテロで停止
- 2008年 東京・秋葉原で無差別殺傷事件、ネットで犯行予告
2008/06/19日本経済新聞朝刊より
http://it.nikkei.co.jp/security/news/service.aspx?n=AS2M17036%2018062008