ITを駆使しての効率化
/カテゴリ: eディスカバリー, 最新米国情報前回はアメリカの弁護士達がiPadとそのアプリで作業効率を上げていると言うお話をさせて頂きました。
iPad だけではなく、Googleも有効に活用する事により効率化を上げる事が可能です。
「Google for Lawyers: Essential Search Tips and Productivity Tools」という本が昨年8月にAmerican Bar Association から出版されました。
Googleは無料もしくは低料金で検索とその技術を利用する事ができ、一般的にはあまり知られていませんが、Google Scholar(http://scholar.google.com)という法務検索があります。
ここではリーガルオピニオンやジャーナル、米国連邦裁判所の意見及び州裁判所の意見を検索する事が出来ます。加えて無料アプリケーションであるGmail、 Google DocsやGoogle Calendarまた携帯電話のボイスメールとそのテキスト化をするGoogle Voice、そして翻訳機能のGoogle Translateなどを有効に利用する事が可能です。
Google for LawyersではGoogleの無料もしくは低価格のアプリとサービスを使って小さな弁護士事務所でも大手法律事務所の調査や技術予算に対抗できるようになる方法、そしてGmail、Google Docs、Google Calendar、Google Voiceや Google Translateの有効活用、そしてGoogle Scholarを利用したレビューやジャーナルの検索などのGoogleの隠されたツールやその利用方法を解説しています。
このガイドブックではビギナーでもアドバンスユーザーでもGoogleの使い方をマスター出来るようになっています。
アメリカはAmerican Bar Associationが弁護士の効率化を上げるためのITツールを積極的に啓蒙している事が特徴です。
Evernote(https://evernote.com/intl/jp/)は何でもキャプチャー出来るソフトウェアで、ノートやファイルを整理し、そして後で取り出す事を用意にしてくれるウェブベースのアプリケーションです。モバイル版だけではなくデスクトップ版もあり全てのプラットフォームのシンクロナイズも可能です。
弁護士にとって魅力的なEvernoteの機能は:
- 1) メールアーカイブ
重要なメールだけをEvernoteアカウントにアップロード - 2) 裁判記録などの保存と閲覧
Evernoteは裁判記録、意見、記事などを整理して保存するので後での閲覧が可能 - 3) TO-DOリスト
1日のやらなければいけない項目を優先順位ごとに管理 - 4) 証拠保存
Evernoteは証拠写真などをケースごとに管理 - 5) コラボレーション
別の弁護士と情報をシェア - 6) ボイスメモ
モバイルバージョンはボイスメモ機能付き
Evernoteは決して弁護士専用のツールではありません。元々はキャプチャーしたノート、ウェブサイト、記事などを整理して有効活用するという一般的なビジネスユース向けに本来開発されたものですが、こういった便利ツールはアメリカの弁護士も積極的に使っているようです。
アメリカではビジネス向けの効率改善アプリケーションが豊富です。弁護士達はこれらの中から自分のプラクティスにあったツールを積極的に用い、生産性を向上させています。
ITと弁護士の生産性
/カテゴリ: 世界情勢, 最新米国情報リーガルサーチのLexis やWestlawが出現した時にアメリカの弁護士達は「コンピュータでの検索など使い物にならない」と言っていたそうです。現在ではコミュニケーションが電子化され、訴訟の際には何テラバイトもの電子保存データを取り扱う事が必要となり弁護士もITの力を使わずに効率を上げることは不可能な状況になっています。
ITの変革が弁護士の活動に影響を及ぼしている事は確実で、特にiPadの出現はアメリカの弁護士の活動に大きなインパクトを与えているようです。四角い革カバンに紙の書類を詰め込んで裁判所に向かう事はもう昔のシーンとなっています。
iPadの一般的なオフィスアプリケーションだけでなく、生産性を上げるのに適した新しいアプリケーションにどのようなものがあるかの情報を常に入手しておく事が重要です。アメリカでは弁護士が自分のプラクティスに適したアプリケーションを効果的に利用して作業効率を上げる事が一般的になっています。
それを反映してアメリカでは弁護士が活用出来るようなiPadのアプリケーションがいくつかありその例をご紹介します。
- 1) Courtdays Pro
(http://itunes.apple.com/us/app/court-days-pro-rules-based/id419708480?mt=8)
裁判に関わるスケジュールや期限などの管理アプリ。 - 2) Read It Later
(http://readitlaterlist.com)
ウェブページを保存してオフラインで読めるようにするアプリ。 - 3) Westlaw Next
iPadのタッチスクリーンに対応したドキュメントノートソフトウェア。 - 4) Fastcase
リーガルサーチアプリ。 - 5) Litigator
訴訟弁護士向けの連邦/地域ルールなどのリファレンスアプリ。 - 6) IJuror
(http://itunes.apple.com/us/app/ijuror/id372486285?mt=8)
陪審員の席順や各陪審員の情報が入力出来るアプリ。 - 7) Audiotorium
ノート及び音声録音のアプリ。 - 8) TrialPad
裁判でのプレゼンテーションアプリ。
American Bar Associationのウェブサイトでも弁護士の仕事効率を上げるためのiPhoneやiPadアプリケーションを紹介しています。(http://www.americanbar.org/publications/youraba/201105article05.html)これらのアプリの数からもアメリカの弁護士を取り巻くIT環境を理解する事が出来ます。当然セキュリティの心配もありますが、Googleの元CEOであるEric Schmidt氏はMACは最も安全なPCであると述べています。タブレットPCが不発に終わったのとは逆にiPadの爆発的な人気を受けて6,000ものアプリが存在します。そしてより機能的で情報を簡単にコントロール出来るようになりました。iPadはデスクトップやノートブックPCと異なり情報を「作る」デバイスではありません。あくまで情報を「消費」するデバイスです。既存のPCと並行してiPadを効率的に使うというのが今後の流れのようです。