2019年リーガルテックワイン会 〜 第7回 ブルゴーニュをめぐる③〜

※ドメーヌ・ポンソのワインをリーガルテック社で競り落とし、ラベルを作成しました。

ワインdeめぐる世界の旅 第7回

ベーシックなブルゴーニュワインと共にワインの歴史を3回に分けて辿ります。

ブルゴーニュ最後の旅は「オスピス・ド・ボーヌ」についてお話します。

1、「オスピス・ド・ボーヌ」の歴史

ブルゴーニュワイン「コートドール(黄金の丘陵)」の中心地ボーヌの街へ訪れます。ボーヌでのワイン醸造の歴史はローマ時代にまで遡ります。
修道士たちによって土壌は耕され神に捧げるために作られていたワインは今は世界最高峰の品質に達しました。中でも「オスピス・ド・ボーヌ」は生産者たちが腕によりをかけて作る歴史あるワインです。

2、「オスピス・ド・ボーヌ」ワインの希少性と価値

ブルゴーニュのシンボルである鮮やかなモザイク屋根の施療院「オスピス・ド・ボーヌ」は15世紀、貧しい農民たちのために建てられた病院です。
施療院「オスピス・ド・ボーヌ」
ボーヌ村の一等地に広がるぶどう畑で造られたワインはチャリティーオークションに出品されその収益金で病院の運営が行われていました。
今もその伝統を守り毎年11月にチャリティーオークションが開催されています。

3、チャリティーオークションでの秘話

実際にボーヌの施療院内で行われるオークションに参加し、現地で落札してきた貴重なワインを試飲します。2年以上の熟成を経てようやく日本に届きました。
オスピスのオークションは樽ごと落札するのが特徴です。1樽分は288本、ラベルは落札者のオリジナルラベルが作成可能で、リーガルテック社だけが所有するワインです。

ブルゴーニュの旅最終回は500年続く「オスピス・ド・ボーヌ」のワインを特別にご用意しました。

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クレマン・ド・ブルゴーニュロゼ・ブラン・ド・ノワールルー・デュモン
2000年に日本人が設立した「ルー・デュモン」は職人的なこだわりを持って作られたスパークリングワイン。日本人のアイデンティティを表現した味わいと評判です。
※クレマン・ド・ブルゴーニュとは
世界屈指の銘醸地ブルゴーニュ産のブドウから造られるスパークリングワインです。

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コトー・ブルギニヨンルイ・シャド
19世紀から続くブルゴーニュ屈指のドメーヌ「ルイ・ジャド」の白ワイン。
『ルイ・ジャドを語らずして、ブルゴーニュを語れず』と言われる代表的な生産者です。
ブルゴーニュのボーヌで開催されたオークションに実際に参加して落札して来たとっても希少価値の高いワインです。2016年の収穫から2年間の熟成を待ってようやく日本に届きました。
実は私も今回初めていただきましたが、さすがブルゴーニュの超一流の造り手「ドメーヌ・ポンソ」ならではの出来栄えです。エレガントな口当たりで甘めのチェリーとちょっとシナモンのようなスパイシー感も…

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オスピス・ド・ボーヌドメーヌ・ポンソ
リーガルテック社だけが持つワイン。
「ドメーヌ・ポンソ」の醸造家、最後のワインです。

2019年リーガルテックワイン会 〜 ワイン de めぐる世界の旅 第 7 回 〜 「ブルゴーニュをめぐるワインの旅③」 いかがでしたでしょうか?
次回はシャンパーニュ地方。

次回のテーマは

~ ワイン de めぐる世界の旅 第 8 回 ~

次回はシャンパーニュ地方を訪れます。
シャンパンはどうして泡が立つのか、シャンパンはどうして高いのか・・・
今更聞けないシャンパンの謎を全てお話します。

渡辺 順子

世界最大のオークションハウス「クリスティーズ」でアジア人初のワインスペシャリストとして活躍、プレミアムワイン株式会社CEOザッキーズ日本代表。
著書:
『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』(ダイヤモンド社)
『日本のロマネ・コンティはなぜまずいのか』 (幻冬舎ルネッサンス新書)

2019年リーガルテックワイン会 〜 第6回 ブルゴーニュをめぐる②〜

世界2大ワイン産地の一つブルゴーニュ

ワインdeめぐる世界の旅 第6回

ベーシックなブルゴーニュワインと共にワインの歴史を3回に分けて辿ります。

2回目は、ブルゴーニュではちょっと異色(?)の存在、シャブリとボジョレーに焦点を当てます。何万年も前は海の底にあったシャブリは辛口でミネラルたっぷりの白ワインを造ります。赤ワインは「ボジョレー・ヌーボー」だけでないボジョレーをご紹介します。ブルゴーニュの違った側面を見ていきましょう。

1、シャブリとボジョレーの土壌の特徴と歴史

ブルゴーニュ地方は地区により栽培されるブドウの品種などが異なると言った特徴があります。シャブリは、ワインの名称として名高い地域名です。

シャブリ地区では、他の地域とは異なり、キンメリジャンと呼ばれている土壌で栽培されているシャルドネ種のブドウのみを利用して、良質の白ワインを作り出すと言った特徴が在ります。

また、ボジョレー地区は、マコンから南へ55kmほどのところに広がるワイン産地で、ガメイという黒ブドウから造られる赤ワインが有名です。

2、シャブリにあう料理とは

シャルドネ種から造られるシャブリは、明るい緑がかった黄色。

シャルドネ種の酸味と、果実味のあるさわやかなミネラル感が魅力の辛口白ワインです。一般的にシャブリに合うと言われている料理は生牡蠣。

牡蠣の化石を含む土壌で育ったシャルドネ種のブドウで造られているシャブリと生牡蠣の相性は抜群です。

3、ボジョレーヌーボーじゃないボジョレーって

ボジョレーといえばボジョレーヌーボーが有名ですが、ヌーボーだけでないボジョレーをご紹介しました。

ボジョレー地区で造られているワインは早飲みの「ボジョレー・ヌーヴォー」だけ、と思われている方も多いようですが、実は熟成能力のある高品質なワインも多く造られています。

この産地には、特に優れた「クリュ・デュ・ボジョレー」と呼ばれている10のA.O.C.があり、同地区の中では特別な存在として世界的に高く評価されています。

ブルゴーニュ最大規模の自社畑を誇る、歴史ある生産者「ドメーヌ・ジョセフ・ドルーアン」が造るシャブリとボジョレーをいただきました。

まずはおなじみのクレマンブルゴーニュで乾杯。口当たりが良く繊細な味わいです。

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クレマン・ド・ブルゴーニュブラン・ド・ブランNV
ブルゴーニュでは珍しい日本人醸造家、沖田さんが造るクレマン・ド・ブルゴーニュ。ブルゴーニュの有名醸造家から大絶賛された味わいです。

※クレマン・ド・ブルゴーニュとは
世界屈指の銘醸地ブルゴーニュ産のブドウから造られるスパークリングワインです。

シャブリはミネラルと酸味のバランスが絶妙。
特にレモンを絞ったかのように感じる酸味が後味を引き締めスッキリした口当たりでした。

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シャブリドルーアン・ヴォードン2017
シャブリ地区のワイン産業を復興させたジョセフ・ドルーアン。
自然派シャブリの代表で牡蠣や魚介類にぴったりの酸味のある味わいです。

ボジョレーは他のブルゴーニュと違ってガメイ種を使用します。
ストロベリーやラズベリーの果実味が軽やかで甘みも控えめな本格的ボジョレーでした。

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ボジョレー・ヴィラージュ2016
ボジョレー特有のぶどう品種、ガメイ種を使って作られるワインは
軽飲みのボジョレー・ヌーボーだけではありません。

2019年リーガルテックワイン会 〜 ワイン de めぐる世界の旅 第 6 回 〜 「ブルゴーニュをめぐるワインの旅②」 いかがでしたでしょうか?

次回はブルゴーニュワインについての最終回。

次回のテーマは

~ ワイン de めぐる世界の旅 第 7 回 ~

次回は「ブルゴーニュをめぐるワインの旅③」
ブルゴーニュ最後の旅は「オスピス・ド・ボーヌ」についてお話しします。
唯一無二のオークションとして500年の歴史を誇る「オスピス・ド・ボーヌ」。
実際にオークションに参加して落札してきたワインをいただきます。

渡辺 順子

世界最大のオークションハウス「クリスティーズ」でアジア人初のワインスペシャリストとして活躍、プレミアムワイン株式会社CEOザッキーズ日本代表。
著書:
『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』(ダイヤモンド社)
『日本のロマネ・コンティはなぜまずいのか』 (幻冬舎ルネッサンス新書)

2019年リーガルテックワイン会 〜 第5回 ブルゴーニュをめぐる①〜

世界2大ワイン産地の一つブルゴーニュ

ワインdeめぐる世界の旅 第5回

ベーシックなブルゴーニュワインと共にワインの歴史を3回に分けて辿ります。

その1回目、いよいよ世界2大ワイン産地の一つブルゴーニュへ訪れます。ブルゴーニュは神に捧げるワインとして修道士達が畑を守り心を込めて造ってきました。ブルゴーニュにはワインの最高峰「ロマン・コンティ」も存在しますが「ロマネ・コンティ」も修道士達によって造られました。

1、ブルゴーニュワインの歴史

ルゴーニュでは、古代ローマ時代からぶどう栽培がおこなわれ、6世紀頃にはすでに各所の修道院でクオリティの高いワインが造られていました。

ベネディクト派のクリュニイ会とシトー会がブルゴーニュに設立した修道院では、当時最高の知識層であった修道士たちによって、ワイン造りがおこなわれました。
当時、ブルゴーニュ一帯はブルゴーニュ公国として、ブルゴーニュ公の支配下にありました。領主であるブルゴーニュ公も、ピノ・ノワールの優位性を認めてガメイの植樹を禁じるなど、ワイン生産を助ける政策を施しました。

2、産地とワインの特徴

教会や貴族に専有されていた垂涎の葡萄畑は、フランス革命によって市民へと開放されました。その結果、ブルゴーニュではひとつの区画が小さくなり、また造り手(ドメーヌ)も小規模な家族経営が多くなりました。

ブルゴーニュ地方は、フランス東部の内陸に位置し、シャブリ地区、コート・ドール地区、コート・シャロネーズ地区、マコネー地区、ボジョレー地区があります。

ブルゴーニュワインの特徴は、単品種によるワインで、基本的に赤ワインはピノ・ノワール種やガメイ種、白ワインはシャルドネ種になります。

3、ブルゴーニュ特有の法律

ブルゴーニュAOC(Bourgogne AOC)は、フランスのワイン法で定められた「ブルゴーニュ地域」で生産されたワインのうち、畑や村・地区などの規格には合わないが、ブルゴーニュワインとしての規格には合致しているワインに与えられる広域AOCです。

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クレマン・ド・ブルゴーニュタストヴィナージュ NV
1898年設立、ブルゴーニュで泡を専門に造る有名な造り手としてその地位を築きました。各種ワインコンクールで多くの金賞を受賞するスパークリングはブルゴーニュで一番の人気を誇ります。

※クレマン・ド・ブルゴーニュとは
世界屈指の銘醸地ブルゴーニュ産のブドウから造られるスパークリングワインです。

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プイィ・フュイッセドメーヌ・シャンソン
淡い黄金色、花、白い果肉と果実の香りが印象的な白ワインです。

※プイィ・フュイッセとは
フランスのブルゴーニュ地域圏ソーヌ=エ=ロワール県の中央部で生産される、AOCの指定を受けた辛口白ワインです。

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ブルゴーニュ・ピノ・ノワールドメーヌ・シャンソン
スミレの花や赤いベリーの華やかな香りにスパイスのニュアンスと滑らかな酸味のバランスが良い味わいです。

2019年リーガルテックワイン会 〜 ワイン de めぐる世界の旅 第 5 回 〜 「ブルゴーニュをめぐるワインの旅①」 いかがでしたでしょうか?

次回はブルゴーニュワインについてさらに掘り下げていきます。

次回のテーマは

~ ワイン de めぐる世界の旅 第 6 回 ~

次回は「ブルゴーニュをめぐるワインの旅②」
ブルゴーニュでもちょっと異色の存在、シャブリとボジョレーについてお話します。

渡辺 順子

世界最大のオークションハウス「クリスティーズ」でアジア人初のワインスペシャリストとして活躍、プレミアムワイン株式会社CEOザッキーズ日本代表。
著書:
『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』(ダイヤモンド社)
『日本のロマネ・コンティはなぜまずいのか』 (幻冬舎ルネッサンス新書)

企業による不正会計とAOS Forensics ルーム

企業による不正会計が年々増加しています。東京商工リサーチの発表によると、2018年に不適切な会計・経理を開示した上場企業は54社で、過去2番目の件数とのことです。不適切な会計の開示企業は、2008年の25社から9年間で2.2倍に増えているとのことです。

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その中で粉飾が全体の38.9%、着服・横領が20.4%、産業別の最多は製造業で全体の31.4%、次いで運輸・情報通信産業が18.5%とのことです。適正会計に対するコンプライアンス意識が求められる中で、不適切な会計は高止まりが続いています。

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更に、帝国データバンクによると、2018年に粉飾が原因で倒産した企業は、73件、資金使徒不正が原因で倒産した企業は、59件に上るとのことです。

大きな話題になった事件としては、2019年は、サムスングループの粉飾会計事件でサムスン電子の副社長2人が証拠隠滅などの容疑で逮捕されるという事件が起こりました。2015年には東芝の不正会計事件、2011年には、オリンパスで粉飾決算がありました。2006年にはライブドア事件で有価証券報告書の虚偽記載事件が起こっています。

ライブドア事件の経緯

2006116日に証券取引法違反の容疑による、事務所と社長の自宅が東京地検による家宅捜査を受けました。この不正取引の実態をつかむために特捜部が注目したのは、経営陣がやり取りした数々のメールでした。ライブドア社では、紙はほとんど使わず、重要な意思決定は、メールで行われていたとのことです。パソコンやサーバーなどに残されたデータを抽出し、証拠として活用する手法は、デジタルフォレンジックと呼ばれていますが、パソコンやサーバーのハードディスクを証拠性が損なわれない特殊な方法でコピーし、フォレンジックソフトを使って解析を行い、不正の証拠となるメールやファイルなどを探し出します。都合の悪いデータは、消されてしまっていることも多いので、データ復元ツールを使って復元を行うということも、不正調査を行う上では重要な作業となります。この事件では、捜査対象がIT企業だったこともあり、一部のデータは、消去ソフトを使って消去されたいたということも報道されています。しかし、このような行為は、裁判では、意図的に証拠を隠滅したということで、裁判官の心証に悪影響を及ぼします。米国の民事裁判では、提出を求められたデータを消去したということで、多額の賠償金の支払いを命じられたケースもあります。

リーガルテック社は、20年に渡り、数多くの捜査機関の依頼でデジタルデータの証拠調査を行ってきた実績があり、捜査機関へのフォレンジックツールの提供やフォレンジック捜査のためのトレーニングを行ってきました。

最初は、捜査機関の依頼でこのようなデジタルフォレンジックの不正調査を行ってきましたが、徐々に企業の依頼での調査も増えていきました。最近では、外部に調査を依頼するまえに、企業が自分たちでフォレンジック調査ができるようにして欲しいとの依頼も増えてきており、そのニーズに応えるために、企業が自力で不正調査を行うためのソリューションとして開発したのが、「AOS Forensics ルーム」です。

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AOS Forensics ルーム」の開発背景を説明した動画はこちらです。

実際のフォレンジック調査は、初期調査、データ収集(保全)、データ処理・解析、レビュー、報告という5つのプロセスで進行します。

スクリーンショット 2019-08-24 12.13.09フォレンジック調査の流れを説明した動画はこちらです。

初期調査を説明した動画はこちらです。

企業による犯罪事件とAOS Forensics ルーム

企業による犯罪事件が多発しています。

業界全体に及ぶ事件としては、2017年のゼネコンの談合事件や、2015年の建材会社の杭打ち工事のデータ改ざん事件、2006年~2008年には、保険料の取りすぎという問題が発覚して、数多くの損保会社で問題が発覚しました。2002年には、食肉偽装事件では、大手の食品メーカーで問題が起こり、雪印食品は廃業に追い込まれてしまいました。

企業単独の犯罪事件としては、品質データの改竄事件や、不動産の不正融資事件、自動車メーカーの排ガス、燃費データの書き換え事件などが起こっています。

このように多発する犯罪に対して、企業は、どのように対処すればいいでしょうか?

実際に東芝が起こした巨額の不正会計事件では、当初、社長は、不正に関与したことを否定していましたが、第三者委員会は、歴代3社長により組織的な不正があったと認定しました。

ここで第三者委員会が使ったのは、デジタル・フォレンジックという不正を立証するための特殊な調査方法でした。

実際の作業は外部の専門業者が特別な保全装置を使って、調査対象となるパソコンのハードディスクを専門の装置でコピーをするという形で行われます。対象となる媒体が多い場合は、深夜に徹夜での保全作業が何日も続くこともあり、外部に依頼すると多額に費用を請求されることもあります。

不正事件の場合は、都合の悪いデータは削除されていることが多く、これを復元する技術も必要となります。

また、調べなければいけないデータの量が多い場合には、大量データを高速で検索するツールの導入も必要になります。

このように多発する企業犯罪に対応するため、最近、企業では、独自にフォレンジックツールを導入して、企業内で調査ができる体制を整える企業が増えてきました。

フォレンジックツールを導入する前は、すべて、外部の専門会社に依頼していため、多額のコストがかかっていましたが、社内である程度まで調査ができるようになったことで、コストが削減でき、迅速な対応ができるようになりました。

このように企業が自力で不正調査を行うためのソリューションとして開発されたのが

AOS Forensics ルーム」です。

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「AOS Forensics ルーム」の概要説明はこちらです。

実際のフォレンジック調査は、初期調査、データ収集(保全)、データ処理・解析、レビュー、報告という5つのプロセスで進行します。

スクリーンショット 2019-08-24 12.13.09フォレンジック調査の流れを説明した動画はこちらです。

初期調査を説明した動画はこちらです。

サイバーセキュリティとAOS Fast Forensics

サイバー攻撃が多発しており、この対策を官民あげて強化することが求められています。
対策を強化する企業が増えているなかで、国内の情報セキュリティ市場も拡大しています。
日本ネットワークセキュリティ協会によると、国内の情報セキュリティの市場規模は、年々拡大しており、2017年以降は、1兆円を突破しています。

情報セキュリティの市場規模

実際にビジネスを行う上で個人情報流出などが起こってしまうと大変な問題になります。
日本ネットワークセキュリティ協会によると、2018年の個人情報漏えい事件の漏えい人数は、561万人、想定被害賠償総額は、2、684億円となっています。
情報漏えいの原因を見てみると、近年は、不正アクセスによる漏えいが急増しており、サイバーセキュリティの強化が求められています。
では、社内で情報漏えいが起こった場合には、どのように調査を行えばいいでしょうか?
2018年の情報漏えいの媒体・経路別の比率を調べてみると、紙媒体からの漏えいが29.8%と一番多いのですが、紙媒体の比率は、年々減少しており、インターネット、電子メール経由の漏えいが増えています。インターネット経由は26.6%、電子メール経由は、21.4%、USB等の媒体経由が12.6%となっています。

媒体・経路別情報漏えい件数

AOS Fast Forensicsは、情報セキュリティの専門的な知識がない人でも簡単に情報漏えいや社内不正が行われていないかを調査するために、捜査機関の依頼で開発したツールですが、サイバーセキュリティ対策ツールとして活用することができます。

AOS Fast Forensicsの起動画面2

インターネットへの不正アクセスをチェックするためには、高速モードを選択して、WEB履歴ボタンをクリックします。

WEB履歴

ワンクリックでWEBの閲覧履歴が表示されます。

WEB閲覧履歴を表示

USBメモリからの情報漏えいを調査するには、USB接続履歴ボタンをクリックします。

USB接続履歴

こちらもワンクリックで接続履歴が表示されます。

USB接続履歴を表示

メールの調査を行う場合は、まずは、ファイル一覧でメールファイルの確認をします。

メールファイルを確認

メールの調査は、詳細モードを利用して行います。

メールを表示

AOS Fast Forensicsは、削除されたデータを復元して、調査することもできます。
例えば、削除されたエクセルファイルを選択します。

削除されたEXCEL

すると削除されたエクセルファイルが一覧で表示され、中のデータを確認することもできます。

削除されたExcelを表示

近年、重要インフラとして、特に電力システムにおけるサイバー攻撃の報告が増えています。
重要インフラに対する攻撃は、これまで制御システムの構成や運用業務に対する知識が必要なことや、そもそもインターネットへの接続がないことから、サイバー攻撃を受けるリスクは低いと考えられていました。しかし、実際には、ICS-CERTの報告によると、重要インフラにおけるインシデント数は、急増しています。

重要インフラにおけるインシデント数

実際にウクライナでは電力システムを狙ったサイバー攻撃によって、大規模停電が2015年と2016年に連続して発生しました。
このような事態から、電力などのエネルギー分野でも高度なサイバー攻撃に対応する必要性に迫られています。
では、インターネットに繋がっていない電力インフラにどうやってサイバー攻撃を行なったのでしょうか?
実際には、USB経由でオフィスのパソコンをウイルスに感染させて、監視ソフトの脆弱性を利用して、端末を乗っ取り、攻撃コードを埋め込んで、システムを乗ったとのことです。
他の事案でも、USBメモリを介してマルウェアの感染などが数多く発生しています。
これらの事態に対応するため、ある電力関係のシステム会社は、AOS Fast Forensicsを導入しました。
AOS Fast Forensicsを使えば、USBの接続履歴を簡単に調査することができます。また、侵入の痕跡を消すために、サイバー攻撃者は、アクセス履歴を削除するケースが多発していますが、AOS Fast Forensicsは、削除ファイルを復元して、侵入の痕跡調査を行うことができます。

AOS Fast Forensicsは、経済産業省が支援するサイバーセキュリティお助け隊のツールとして採用されています。

詳しくはこちら>>

サイバーセキュリティお助け隊にAOS Fast Forensicsが採用されました。

経済産業省は、サイバー攻撃から地域の中小企業を見守る「サイバーセキュリティお助け隊」の実証を始めました。宮城や広島、愛知など15府県で今夏から随時取り組みを始める予定です。
愛知県では、MS&ADインターリスク総研が実証事業を実施し、協力者として、ALSOKなどが参加しますが、ALSOKをサポートするソリューションとしてリーガルテック社が提供するAOS Fast Forensicsが採用されることが決定しました。

サイバーセキュリティお助け隊の仕組み

サイバー被害を受けた企業から相談を受け付ける窓口を設置し、必要に応じて「サイバーセキュリティお助け隊」が出動し、問題解決にあたるという流れとなりますが、愛知県の実証事業では、ALSOKがこの「サイバーセキュリティお助け隊」を担当します。お助け隊のメンバーはITについての専門性が求められますが、ここで、AOS Fast Forensicsを活用することで、効率良く調査が行えるかを検証します。

サイバーセキュリティお助け隊の役割

実際に現場でトラブルが発生しているケースでは、パソコンの調子が悪いとか、変なメールが届く、情報漏えいが懸念されるが、どうやって調べたらよいか分からないなどといった相談が多いのではないかと予想されます。例えば、情報漏えい調査をAOS Fast Forensicsで調べたところ、外部からの攻撃ではなく、内部犯罪の可能性がある証拠が検出されるというようなことも起こることが想定されます。

AOS Fast Forensicsに期待されること

実際にサイバーセキュリティお助け隊が成果を上げるためには、ITや不正調査の専門的な知識がない人でも効率良く調査を行えるかがこの取り組みが成功するかどうかの鍵を握っているのではないかと思います。AOS Fast Forensicsは、元々、捜査機関の現場で、専門的なIT知識のない捜査官でも、ある程度の調査が行えることを目的として開発されたツールです。実際の現場でそれが実証されれば、中小企業のセキュリティ対策の向上に大いに貢献できるのではないかということを期待しています。

非IT部門のためのフォレンジックツール

これまで限られた専門家にしかできなかったフォレンジック解析を非専門家でも行えるようにすることで、フォレンジックの捜査や初動や調査対象の絞り込みなどを大幅に効率化することができます。

レポート 知財で稼ぐ!知財デューデリジェンスとワイン@京都リサーチパーク

2019年7月31日(水)、リーガルテック株式会社は、「知財で稼ぐ!知財デューデリジェンスとワインセミナー」を京都リサーチパークにて開催しました。

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講師にはリーガルテック株式会社の佐々木隆仁、吉木政人に、京都創薬研究所の平田 文樹(ひらた ふみき)氏と、ワインスペシャリストの渡辺順子(わたなべ じゅんこ)氏もお迎えしました。

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京都創薬研究所様がちょうど当日に、追加の資金調達(4億円)に成功されたということを発表してくださり、知財で稼ぐという主旨に違わぬ未来への希望に満ちたセミナーになりました。
本稿では、その内容についてレポートします。

知財で稼ぐには、2つのキーテクノロジー活用がポイントになる

代表の佐々木からは「AOSデータルーム 知財デューデリジェンス」をテーマに講演を行いました。

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佐々木からは、知財で稼ぐための2つのキーテクノロジーの紹介がありました
1つは知財デューデリジェンスをサポートする「知財デューデリジェンスプラットフォーム」
もう1つは「知財訴訟のためのリーガルテック」です。

「知財デューデリジェンスプラットフォーム」がキーテクノロジーに

遅れている日本の知財活用

リーガルテック社が主催しているリーガルテックと知財の歴史をご紹介しながら、日本の知財活用の実態についてのお話をしました。
特に2014年にリーガルテック 展で小泉元首相からお話頂いたテーマ「知財立国日本」は、総理時代のテーマでありましたが、実態はまだまだであることなどをご本人からもお話頂いており、2019年の現在においても、まだまだ知財を活用できているとはいえない状況です。

国家レベルでは、熾烈な知財争奪戦、サイバー攻撃が繰り広げられている

有名なところでは、スノーデン容疑者がCIAの秘密を暴露してしまい、オバマ大統領が謝罪するといった事件や、人民解放軍に対しオバマ大統領がけん制した事変、ソニーミュージックが北朝鮮のサイバー攻撃の標的になった話など。
守秘義務のため、詳しくは、お伝えはできませんが、国家レベルの情報戦は年々熾烈になってきています。
そんな中、日本だけが、ただ黙って一方的に痛めつけられる状況が続いています。
自社だけは大丈夫である、どの国のICT技術を使っても大丈夫であると考えるのは、あまりに楽天過ぎる危険な考え方です。

「知財デューデリジェンス」をサポートするAOSデータルーム

そのような熾烈な世界中の知財争奪戦の中で、大切な知財データを国家レベルの盗難リスクからも守るのがAOSデータルームです。

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これからの時代は、より多くの関係者に対し 「知財」の盗難リスクを防いだ上で、積極的に閲覧、レビュー、評価してもらう機会も増えるでしょう。

aos dataroom

このような知財の評価業務を知財デューデリジェンスと呼びますが、 これからの知財で稼ぐ時代は「知財デューデリジェンス」業務をより効率的かつセキュアに、そしてなるべくローコストで行う必要があります。

aos dataroom

その時に活躍するAOSデータルームを、ぜひお試し頂きたいと思っています。

知財訴訟を効率化するキーサービス「リーガルサーチ」

知財検索を「高速かつローコスト」に実現する技術

知財を活用するためには、既存の知財の調査業務も重要です。
しかし、現状は良いシステムが存在せず、この作業に膨大な時間がかかってしまいます。
この問題を解決するのがリーガルサーチです。

リーガルサーチ
https://legalsearch.jp/portal/

例えば、上記のサイトで「青色発光ダイオード」と検索してみてください。
知財訴訟も含めた様々なデータが高速で表示されると思います。
リーガルサーチは、RDBを使っていない高速でローコストで稼働できるデータベースです。実際コストは大幅にダウンするため、すなわち皆様にもリーズナブルに使って頂くことができます。

この秋、公開

システムはまだ完成しておらず、特許データも今いれている状態ですが、今年の秋ぐらいには多くのデータを入れた状態で皆さんにお使い頂けるようにするつもりです。
ぜひご期待ください。

AOSデータルーム導入後、調達が加速。本日4億円調達できました -佐々木と平田さまの対談

弊社の佐々木と京都創薬研究所平田さまとの対談を行いました。

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まずは平田さまから会社について簡単にご紹介のあと、日本において知財で稼ぐ方法についてディスカッションを行いました。

京都創薬研究所について

資本関係はないのですが、京都大学の知財を主に扱って革新的な治療薬を開発しています。
現在KUS121という調整薬を保持しており、先生と連携して眼科領域の治験も行っています。

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ビジネスモデルは、弊社が京大から実施許諾を頂いている特許を製薬会社にライセンス提供するというモデルになっています。

本日4億円調達

AOSデータルームを導入した当初は1億6千万円の調達額でしたが、現在は増え、本日の4億円を含めて、合計10億円程度の調達額になっております。

AOSデータルームは値段が安く、ITが得意じゃない人間でも直感的に使いやすい

AOSデータルームはまさに知財デューデリジェンスの目的で導入しましたが、使ってみて、その使いやすさに驚いています。
私、平田はIT畑の人間ではないのですが、直感的に使えるため、本当に重宝しています。
またお値段もリーズナブルなので本当に助かっています。

大学発の知財や日本の知財で稼ぐには?

やはり日本の知財活用は、関係者が増えがちで、調整が難しいです。
例えば弊社のライセンスは京都大学がもっており、特許の実施許諾を得ているのが京都創薬になっているため、制限がかかってきます。
この形では製薬会社にサブライセンスをする形になるので、やりづらさがあるのは否めません。
さらに関西TLOさんなどが絡むとプレイヤーが多く、話が進まないことも増えます。
商売っ気のない人が大学側に多いことも話が難しくなる要員になっていると思います。
本庄先生と小野製薬さんの件でも課題となっていましたが、やはり契約などもリーガルテックを活用するなどで、しっかり正しいプロセスで進める必要があると思います。

成功事例がもっと出てくれば、もっと日本の知財活用はかわる

最近では、東大発のベンチャーがうまく稼ぎ出していることで、潮目がかわってきていると感じます。
例えば、東大生もベンチャー希望者が10%に達するそうで、一昔前とはだいぶ様相が違います。
アメリカとはまだまだ状況が違いますが、明らかに成功事例が日本のムードをかえてきていると思います。
京都創薬さんも、製薬会社を作るのではなく、あくまで知財をお金にかえていくというスタンスだということですね。
目の治療薬の市場規模で100億円くらいはあるということで、ぜひ大きな成功事例として日本の知財活用を盛り上げてもらえたらと思っています。
本日はありがとうございました。

VDRとは?知財デューデリジェンスに使えるAOSデータルームのご説明&デモ -吉木

リーガルテックの吉木からは、AOSデータルームのデモを中心にご説明。

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評判のよいビューワーや、透かし機能、検索機能のご説明などを行いました。

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企業内フォレンジック調査室 製品発表会 AOS Forensics ルーム

2019年8月6日(火)、リーガルテック株式会社は、企業内フォレンジック調査室 製品発表会 AOS Forensics ルーム 〜 RegTeh コンプライアンス・第三者委員会〜企業が自力で不正調査を行うためのソリューション〜 を開催しました。

第一部は 「企業内フォレンジック調査室 AOS Forensics ルーム」 につきまして、本発表会主催のリーガルテック株式会社代表の 佐々木 隆仁 (ささき・たかまさ)より、ご挨拶と、ご説明から始まりました。

企業内フォレンジック調査室 AOS Forensics ルームとは

企業向けデジタルフォレンジックは、企業情報システムの安全性と漏えい防止を保証するだけでなく、社内に適用すれば数億円を節約する戦略的なセキュリティ対策です。一般に、組織のセキュリティ戦略は、システムを導入してセキュリティを保護するという認識ですが、日本では、ほとんどの企業が社内でフォレンジックの専門家を養成していません。一方、「米国では38%の企業がセキュリティ戦略の一形態としてフォレンジックツールと手法を利用しています。企業内のデジタルフォレンジック チームは、組織が使用するすべてのデジタルデバイスを調査できるようにするだけでなく、従業員が組織のポリシーに従っているかどうかを法的に監査する必要もあります。サイバー犯罪に対する脅威は、外部の力によるものであれ、内部の力によるものであれ、攻撃前と攻撃後の両方の状況に対処できるような対策を講じることによって軽減できます。

企業が自力で不正調査を行うソリューション

AOS Forensics ルームとは、コンプライアンス・第三者委員会に対応するために、企業内において、不正調査を行うことを目的として、社内のフォレンジック調査部門が専用ツールを使って、不正調査を行うことができる専用ルームです。リーガルテック社は、長年、企業の不正調査で培ってきた技術、ノウハウを持って、企業が自力で不正調査を行えるように、AOS Forensics ルームの設立のためのコンサルティングからフォレンジックツールの選定、使い方のトレーニングまで、高度なフォレンジック調査サービスを通じて、インハウス・フォレンジックルームの設置をご支援いたします。

インハウス・フォレンジックの6つのメリット

ガバナンスとコンプライアンス

個人データや機密データを企業全体で予防のために識別、分類、監査できるようなツールを用いて、データ監査を通じて、情報のガバナンスを実装して、ビジネスインテリジェンスを向上させ、コンプライアンスを確保し、様々な種類のリスクを軽減することができます。

情報セキュリティ

情報セキュリティを守るために情報漏えい調査、改ざん調査などを行うツールを揃えています。

訴訟対策

訴訟が起こされる前の段階で、訴訟リスクを分析するためにも内部でデジタル証拠を検出できる能力を高めることが有効な訴訟対策となります。

デジタル証拠調査

リーガルデック社は、デジタル証拠調査に20年関わった実績を持っており、自社で調査に関連する全てのデジタルデータを収集し、深いレベルで分析し、信頼できるレポートを作成できるようにサポートいたします。

内部調査

「AOS Forensics ルーム」を社内に構築しておけば、迅速な内部調査を実施することができるようになります。

モバイル調査

「AOS Forensics ルーム」では、モバイル端末の証拠調査ツールの提供と、トレーニングを実施し、社内の不正調査に迅速に対応できる体制を社内に構築できるように支援いたします。

フォレンジック調査の概要

続いて、プログラム② は、「フォレンジック調査の概要」 につきまして、リーガルテック株式会社 リーガルサービスカンパニー、カンパニー長の森田善明(もりた・よしあき)より説明がありました。

インシデント認知後の対応

初動調査においての「被害範囲の確認」、原因調査においての「侵害原因調査」、「被害の詳細確認」などが基本的なインシデント発生後の調査項目として挙げられますが、ベンダーへ依頼する場合、自社で調査をするよりも時間とコストがかかることが多いでしょう。

フォレンジック調査の流れ

① 初期調査 ② データ収集(保全)、③ データ処理・解析 ④ レビュー ⑤ 報告 こちらがフォレンジック調査の流れとなります。

①初期調査

フォレンジック調査における初期調査ではインシデントの被害状況の概要を把握し、調査対象を特定することから始まります。素早い状況把握に努め、原因特定までの道筋を立てることが重要です。

  1. インシデントの日時
  2. インシデントに関わった人物
  3. インシデントに関わったデバイス
  4. インシデントに関係するデータの種類

これらのデジタルデータを調査をするときに、フォレンジックツールを使用し、証拠を汚さないよう注意が必要です。

例えば、怪しいファイルが無いか確認するためにファイルを開いたり、削除されたファイルを復元するために対象のPC上で復元ソフトを実行したり、といった対応は絶対にしてはいけません。触れば触るほど証拠に辿り着ける可能性が下がっていきます。

②データ収集(保全)

フォレンジックにおいてデータ収集(保全)の作業は非常に重要な工程です。PC内にあるデータは起動しているだけで書き換わり証拠となるデータは失われていきます。保全を如何に素早く遂行できるかで証拠に辿り着ける可能性が大きく変わってきます。また、調査結果の証拠性を保持するためにも非常に重要な作業になります。
AOS Forensics ルームはリーガルテックが経験して培ってきた様々なデバイスの保全技術を伝授いたします。

電子ファイルや文字列等の電子データを、一定の計算式であるHash関数により演算し、数文字から数十文字程度の特定の長さの文字列に変換した値。Hash関数には、「同一のHashを生成する異なる2つのデータを求めることは計算量的に困難である」という性質(衝突発見困難性)がある。したがって、ある2つのデータについて、同一のHash関数を用いて得られたHash値が同一であれば、これらのデータ自体も通常は同一であると判断することができる。

③データ処理・解析

インシデントの内容により解析する項目は異なります。また、解析する項目に適したフォレンジックソフトを使用することで、より精度の高い調査が可能になります。解析者の経験の差が出る工程でもあり、日頃からのトレーニングが重要となります。

【解析項目例(PC)】

  1. メール
  2. ファイル復元
  3. Webアクセス履歴
  4. ファイルアクセス履歴
  5. USBの接続履歴
  6. プログラムのインストール履歴
  7. 電源オン・オフの履歴

フォレンジックソフトを正しく使用できるようになるには、デジタルデバイスに関する深い知識が必要となります。リーガルテックが実際に対応しているフォレンジックサービスに必要な知識をベースに、解析者にトレーニングを行います。

④レビュー

収集・解析したデータから証拠となるものを特定する工程です。データ量が多い場合にはレビューチームを設置し、レビュープラットフォーム上で作業を進める場合もあります。また、証拠と判断するためには法律や会計などの専門知識が必要とされる場合もあります。人件費が最もかかる工程でもあるため、効率的に進めることが重要になります。

レビュー対象のデータを絞り込むために、キーワードやタイムスタンプ、メールの送信元情報、ファイルの作成者等様々な検索アプローチを試みます。
リーガルテックでは第三者委員会やeDiscoveryのレビュープロジェクトも対応しており、実際の現場で対応してきたノウハウをベースに、効率的なレビューの進め方を支援いたします。

レビューの進め方と体制の一例です。3つのステージに分けて、段階的に証拠の絞り込みを進めていきます。

  1. 1stステージ・・・社内調査部門
    1. 無関係のデータを排除し、事案に関係があると思われるデータのみに絞り込む。
  2. 2ndステージ・・・社内調査官
    1. 1stレビューで絞り込まれたデータの中から、証拠と考えられるデータを特定する。
  3. 3rdステージ・・・社内弁護士 / 責任者
    1. 証拠とされたデータの最終確認をする。

それぞれの段階で証拠性があると選定されたデータを照合して、最終決定を行います。レビューのノウハウによって訴訟で使われる証拠としての威力が変わってきますので、レビューはとてもスキルが必要な大事な調査工程です。

⑤報告

報告書に記載する内容は、正当に保全されたデータに対し、第三者が同様の方法で解析を行えば同じ結果が得られる(再現性があること)内容となっていることが重要となります。

保全時の記録
  1. いつ、どこで、何を、どうやって(何のツールを使用して)保全したか
  2. 保全時の写真とログ
解析の方法と結果
  1. どうやって(何のツールを使用し、どのような設定で)解析をしたか
  2. 解析の結果(件数等)
レビューの方法と結果
  1. どうやって(何のツールを使用し、どのような観点で)実施したか
  2. 解析の結果(件数、見解等)

デジタルフォレンジックの三要素

① 手続きの正当性

デジタル証拠に関して、定められた手続きにのっとって、証拠品の収受と同様に正確かつ確実な記録を残し、取り扱い者以外の第三者がふれることのないように厳重に保管し、解析を行うために保管庫から取り出す場合や解析を中断・終了するために戻す場合には、出納状況を正確かつ確実に記録するなど、厳重な管理の下で取り扱うことが必要である。

② 解析の正確性

電磁的記録の解析においては、論理的にも技術的にも正しい手法を用いた解析を実施し正しい結果を可視化・可読化し、推測や解釈を加えることなく、ありのままの事実を明らかにすることが重要である。

③ 第三者検証性

デジタルフォレンジックにおいて、解析に従事した者以外の解析者又は第三者が、正当な手続きの下で、かつ正しい手順で解析を行った場合には、同一の解析結果が再現可能であることが求められる。

参考:「デジタルフォレンジック概論:フォレンジックの基礎と活用ガイド」

AOS Forensics ルームの提供内容例

フォレンジックルーム設置支援
  1. ルーム運用規定の策定支援
  2. フォレンジック調査用ハード/ソフトウェアの選定と調達
  3. 作業環境の構築支援
フォレンジックトレーニング
  1. 管理者向け・・・インシデント発生時の対応について
  2. 技術者向け・・・各種フォレンジックツールの使用方法について
  3. レビュー管理者向け・・・レビューの進め方やタグ、ステージについて
コンサルティング

フォレンジックの専門家がコンサルタントとしてフォレンジックルームに関する質問にお答えいたします。
AOS Forensics ルームはForensicsルームの設立のためのコンサルティングからフォレンジックツールの選定、使い方のトレーニングまでトータルでサポート致します。

AOS Forensics ルームのプロセス(初期調査)のデモ

最後に、「AOS Forensics ルーム」における最初の工程、① 初期調査について3分ほどの動画デモを使ってリーガルテック株式会社代表の 佐々木 隆仁 (ささき・たかまさ)より、説明がありました。

会場前方には、AOS Forensics ルームのデモブースが設置されました。

質疑応答のあとはデモブースに参加者が殺到しました。

いつまでも質問が尽きず、Forensics ルームの関心の高さを実感する発表会となりました。
皆様、お暑い中を本発表会にご足労いただき、誠にありがとうございました。

レポート HRを支えるVDRテクノロジーとワイン@京都リサーチパーク

2019年7月30日(木)、リーガルテック株式会社は、「HRを支えるVDRテクノロジーとワインセミナー」を京都リサーチパークにて開催しました。

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講師にはリーガルテック株式会社の佐々木隆仁、吉木政人に、アビリティスタッフ株式会社代表取締役の梶田 政宏(かじた まさひろ)氏と、ワインスペシャリストの渡辺順子  (わたなべ じゅんこ)氏もお迎えしました。

テーマは、HRテクノロジーを幅広く捉え、未来の新しいサービスの形も予感させる新鮮味溢れるセミナーとなりました。本稿では、その内容についてレポートします。

HRテックの現在地 -梶田氏

梶田氏からは、人材不足が深刻な中で、昨今注目を集めているHRテックについての現在地についてお話がありました。

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労務行政研究所 HRテクノロジーのサービスマップ

今、どんどんHRサービスが乱立している状況です。

masahiro_kajita

▼※セミナーとは別データですが、HRテックのカオスマップがありますので掲載します。
https://hrtechnavi.jp/lab/hrtech-chaosmap/

しかし、テックを使えばよいかというとそうではありません。
現在は人材募集が厳しくなっているだけでなく、苦労して採用した人材の定着率も重要になってきています。

辞めないための「エンゲージメント」が大切になってきている。

先ほどお伝えしたように、現在は、採用するだけでなく、その後の人材の定着率も大切になってきています。

これを「エンゲージメント」とよび、エンゲージメントを高めるには、テックだけではなく社風や人間関係、本人の方向性との一致も重要です。

従って、HRテックはテックの話だけではなく、ツールはツールなので、最終的にはそれを使う企業側の考え方が大切になってきています。

VDRは今までにないHRの新サービスを生み出す -佐々木と梶田氏との対談

梶田氏のHRテックのあとは、佐々木の対談を行いました。

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VDRにより、人事担当者の閲覧履歴が可視化できるようになる

やはり人事系のサービスは、候補者の履歴書や採用情報などを扱うわけで個人情報の塊であり、厳密な管理が求められます。この面でVDRを使う安心感は圧倒的です。

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また、人事情報というのは、企業の人事担当者がみたかどうかということがとても大切ですが、それもVDRを使えば、操作履歴を確認できとても便利です。

個人単位でのファイル管理ができて業務効率も格段にアップするので、VDRはHR企業にとって、とても相性のよいプロダクトだと感じています。

VDR活用が新しいHRサービス創出につながる

人材紹介会社というのは、多くの同業とライバル関係でもあり、協力関係にもあります。
それぞれの会社に特色があるので、あわない場合は、紹介をしあったりします。

こういった業務をメールでやりとりしていた時と違い、VDRを使えば個人情報を管理している各フォルダへのアクセス権を管理するだけなので、全員にとって個人情報の管理がシンプルになりましたし、情報活用のスピードも格段にあがりました。

メールの時は、データの破棄などをお願いする手間があったり、人材を紹介した場合の裏切りの心配などもありましたが、その問題もVDRを使えば、操作履歴込みで残るので安心です。

このような安心を有無VDRというツールの登場により、人同士の協業が加速し、HR業界に新しいサービス創出の流れが生むことができるのではないかと期待しています。

VDR application example

いい人を集めるには?未来の人材募集の姿

企業側の理屈をいうと、某大手HRテックに分類されているテクノロジー会社のサービスを使ってみても、なかなか募集はうまくいかないです。

たとえば、少人数の人事部が何百通もスカウトメールを送るなんてことはできないし、面接にも負荷がかかります。

そう考えると、小回りのきくアビリティスタッフさんのような人材紹介会社さんから紹介してもらえるのはありがたく、かつアビリティスタッフさんは社風を見てくれているので、マッチ率が高いという特徴があります。

人材募集の形も、大手の寡占だけでなく、テックの活用によりもっとかわっていくでしょう。

人件費の高騰。これからは人事デューデリが注目をあびる

シリコンバレーではAIを学んだ学生の初任給が1000万円を超えるようになってきています。
終身雇用を前提とした雇用は完全に崩壊していますし、優秀な人材の獲得は、グローバル競争に突入しているので、この流れには逆らえないでしょうから、日本もどんどん追従することになるでしょう。

だからこそ、企業側の採用リスクを下げるためにも、人事デューデリエンスの分野が脚光をあびるでしょう。

採用前から各個人のデータをどのようにセキュアに集め、かつAIなどでチェックしたり、そもそも履歴データを改ざん不可なブロックチェーンで保持するなどのテクノロジーも進化すると思われます。

VDRはそういったテクノロジーの進化の一環であり、人事データをデジタル化し、セキュアにシェアしていく流れを大幅にサポートします。

ぜひこれからのHRテックの流れには敏感になってもらい、うまく活用して頂けたらよいと思います。

 

HRには個人情報保護の流れからも、機密保持テクノロジーが必要 -佐々木

経済産業省DXレポート 2025年問題

まず佐々木からは経済産業省のDXレポートの紹介から。

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▼DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html

DX、つまりデジタルトランスフォーメーションの必要性が書かれたレポートがあり、このままでは2025年には日本から最大12兆円単位の資産が消えてしまうことが危惧されています。

早急なデジタルトランスフォーメーションが求められています。

非正規雇用が増えている。機密保持が大切。

日本国内では、どんどん非正規雇用が増えており、人材の流動性が高まっています。

一方で、個人情報保護の機運の高まりがあり、企業はより厳密な個人情報保護の必要性に迫られています。

デジタルデータの管理をセキュアに行えるVDRの重要性が、これからますます増してくると思われます。

メールと紙の時代からのデジタルトランスフォーメーションが必要

近年、M&Aが盛んですが、その時に重要な要素として人材の情報があります。

会社のキーマンのエンゲージメントや、給料テーブルなど、とても大切な情報が存在していますが、それらのほとんどがメールでやりとりされているのが実態です。

メールの添付ファイルは、よく暗号化され、パスワードを別メールで送られていますが、これは我々セキュリティの専門家からすると危ない行為です。

人事だけではないVDRの活用

VDRは、人事だけでなく、情報をセキュアに保存し、共有する必要がある業務においてとても相性がいいです。

例えば下記のような業務があります。

  • M&A
  • テレワーク
  • スタートアップ

特に人事系の方はテレワークは絡むことが多いでしょう。
ぜひVDRを知ってもらえればと思います。

 

VDRとは?HRに使えるAOSデータルームのご説明&デモ -吉木

リーガルテックの吉木からは、AOSデータルームのデモを中心にご説明。
評判のよいビューワーや、透かし機能、検索機能のご説明などを行いました。

masato_yoshiki

やりとりにメールを使っている人は?

冒頭で、実際に会場の方に質問し、挙手をしてもらったら、人事情報のやり取りにメールを使っている人が半分以上もいました。

Raising hand

やはりリーガルテック社の実感としても、メールや紙でやりとりしている企業が未だに多い印象です。

ぜひVDRを知ってもらえればと思います。